カポエイラ:技の分類③独楽回転

こんにちは、Griloです。

技の解説、第3回目は独楽の様に回る動きについて。

ACCCではピアオン・ジ・マオンという名前の技ですね。

パラフーゾと呼ぶ団体もあるし、

名前は様々ですが、

要するに逆立ちして手で回転する、という動きの事です。

完成度が上がれば片手のうえで何度も回ることが出来るという、

一見ちょっと人間離れした技ですね。

先ずは技の構造をざっくりと、

便宜上時計回りに回転する方向で説明します。

 

初めに、左手を地面につきに行くと同時に、

右脚を大きく振り上げます。

振り上げ方向は真直ぐ後ろです。

斜めに振り上げてしまうと、

回転軸が纏まらずに逆立ちの形をキープできません。

続いて、

右手を地面に着くと同時に、

左手を地面から離します。

それに合わせて、

振り上げていた右脚と、あとから上がってきた左脚を、

真直ぐ真上にまとめます。

両手を同時に地面に着いている時間を創ってしまうと、

せっかく生み出した回転エネルギーにブレーキがかかってしまうため、

必ず地面に着いている手は片手のみ、

軸が一本になるようにします。

後は、回転エネルギーを殺さないように身体の形をキープしてあげれば、

クルンと回ってくれるわけです。

 

さて、この技をするにあたってのポイントは、

初めにきちんと脚を振り上げられるのか、

という点にあります。

人間、どうしても逆立ちを一人でしようとすると、

後ろに倒れるのではないかという恐怖心が先に立って、

少しブレーキをかけてしまいます。

そうすると、逆立ちで止まる位置まで腰が上がらずに、

前に脚が落ちてきてしまいます。

故に、

先ず初めに振り上げる脚をしっかりと逆立ちまでもってくる、

それが非常に重要になります。

どうしても上がらない場合は、

壁倒立を変形させて、

壁から少し離れた所に両手を着いて、

片足だけ壁に預ける形でキープする逆立ちの練習をしてみてください。

そうすると、

脚を振り上げる位置のイメージが付いてくるので、

ピアオン・ジ・マオンに入る所からでも、

脚を振り上げることが出来るようになっていきます。

あとは、

手足を入れ替えた瞬間に色々とコントロールしようとせず、

ただ一本の棒として身体を固定すると、

回転軸がしっかりしてきます。

このあたりは何度も調整が必要な部分になりますが、

めげずにやっていると少しずつ正確性が増してきますので、

焦らずに練習を続けると良いと思います。

 

次回は、ケブラ・ジ・ヒンの解説ですー。

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表現者として在る、というのが大事ですね。

こんにちは、Griloです。

今日はカポエイラに取り組む上での在り方のお話し。

カポエイラの持つ様々な型って、

その一つ一つが言語であり、文法であり、

メッセージを届けるためのコミュニケーションのツールだと思うんです。

普段の型の練習はその言語運用能力を上げるためのトレーニングで、

ジョゴはそのコミュニケーションの現れ。

そしてそこで表現されるべきは、

その人の在り方だと思うんですね。

その時にクローズアップするべきものって、

心、では無いと思うんです。

どちらかというと直観であるとか、

その瞬間にあるもののテクスチャー、

それを切り出すのが大事であると思う訳です。

心、から動こうとする人は、

いつもコロコロと揺れ動く心に囚われてしまいます。

「上手く出来ているだろうか。」「相手は自分とジョゴをしていて楽しいだろうか。」

「目立つことが出来ているか。」「格好悪い動きはしたくない。」

「出るのが恥ずかしい。」「自分なんかが割って入るのは烏滸がましい。」

全て心の動き。

それは多分その人自身とは別のモノだと思うんですよね。

そうでは無くて、あくまで直観的に表現したいものを型を通して現す。

相手の存在を感じ取りながら、自分の表現したい事柄を余すところなく出していく。

それが大事なポイント。

別に上手くなくて良いんです。

誰かの目を気にして動くのは止めて、

自分自身の中から出てくるもの、その場に流れているものに委ねること、

自分は表現者として在るのだ、という姿勢でいるという事を続けると、

その人らしいエネルギーが現れてくると思います。

 

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カポエイラ:ブラジル渡航レポート② バチザド

こんにちは、Griloです。

ブラジル渡航レポート第2回目はバチザドについて。

僕は前回ブラジルに行ったのは4月、5月の2か月で、

サンタカタリーナ州の第一回目のバチザドには参加したんですが、

本部のバチザドに参加するのはこれが初めて。

果たして日本との違いは如何に、と思っていたのですが、

実際参加してみると、想像以上に「違って」いた。

新しい帯を得ることに対する生徒の心構えの違いや、

歌の持つエネルギーが日本と比べて圧倒的に大きいこと、

数々のリオに住むメストレ達の参加ももちろんだが、

多分一番の違いは生徒一人一人の自主性なのだと思う。

一人一人が、自分が主役としてバチザドを創る姿勢で臨んでいる。

それ故に、歌が、ジョゴが、どれもが力強い。

場そのものを皆で共有している、エネルギーの大きさが、日本とはまるで違う。

今回、大阪のエスコーピオンがコントラメストレ(師範代)に昇段して、

その場に立ち会う事も出来た。


以前は「コントラメストレが日本で昇段しないのは何故か?」

と考えていたのだけれど、

これはここに来ると納得する。

コントラメストレの帯を日本で貰っても、全くもって嘘くさい。

本場のメストレやコントラメストレ達と、エネルギーが充満した空間で相対しないと、

あれは価値が出てこないのだと思う。

それに、これだけの数のメストレ達相手にジョゴができる時間なんてそう多くない。

是が非でも、ブラジルで昇段したくなるというモノだろう。

 

文字というメタ情報でアップしてみると解るのだけれど、

全く情報が乗り切らない。

文字情報にするとエネルギーが死んでしまう。

この辺は残念なところで、実際ブラジルに行って体感してもらうしかない。

 

あと、面白かったのはバチザド後のフェスタ。

シュハスコをやりながら夜通し飲めや歌えや、あるいはホーダになるのは想定内だったけど、

翌日のお昼過ぎ、フェスタの出し物が終わったらまさかの流れ解散。

「え?このタイミングで帰るの?」

というタイミングでゾロゾロとみんなが帰っていく様は独特で、

「締まらない」とも「余韻」とも何とも言い難い感じだった。

ともあれ、いずれも直接体感しないと解らないもの。

機会を創って、ブラジルまで行ってみると良いと思います。

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カポエイラ:ブラジル渡航レポート① エッセンス

随分久々の更新になってしまいました。

支部長のGriloです。

10月17日~28日まで、ブラジルに行ってまいりました。

湘南支部を立ち上げる直前以来、実に6年ぶりの訪問で、

これから毎年のように行くことになるかなぁと思っています。

情報がまだ風化しないうちに、ブラジルレポートを複数回にわたってお送りしようと思います。

一回目の今日はともあれブラジル本部ACCCに行く意味、そのエッセンスの話。

 

カポエイラを日本でやっていると、日本のカポエイラも随分と育ってきて、

レベルもかなり高いものになって来ていると思う事がある。

技もバリエーションも豊かになり、ホーダもそれなりに行われて、

ともすると日本も本国に負けないレベルまでもう少しなんじゃないか?

なんて思ってしまう。

けれど、そんな考えを清々しいまでに一蹴してくれるのが、

本部でのホーダとジョゴの経験だと、今回の訪問で身に染みた。

 

ブラジル本部のカポエイラと日本のそれは明らかに違う。

使っている技や蹴りはさして違いは無い。

ただそこに乗っている覚悟が違う。

日本に居ると気付かないけれど、僕ら日本人はジョゴ中も無意識に色々な事を考えている。

例えばマルテーロ(上段廻し蹴り)一つとっても、

相手にそれを放つにあたり、

やれ怪我をさせないようにだとか、明日の仕事に支障が出ないようにだとか、

きちんと避けられるようにだとか、相手が嫌な思いをしないようにだとか、

そういったことを物凄い高速で頭の中で回しながら、

最適解としてのマルテーロを出そうと頑張っていると思う。

ある意味では未来のことやこれから起こることばかりに意識がいっていると言える。

それに対してブラジルのカポエリスタは、

今しか見ていない。

今、相手を倒すためだけに蹴りを放つ。

だから、物凄く蹴りが強い。

迷いが無い蹴りは、様々な思考を塗りたくった蹴りとは全く別の次元のものになる。

結果、日本人はブラジルに渡った時、大きく気圧される。

「嫌われたのではないか?」と思う人さえ居るほどに、

彼らの蹴りは本当に相手を倒すために放たれている。

その辺りが、ブラジル本部と日本との絶対的な違いであると僕は思う。

 

僕が今回のブラジル訪問で一番印象に残っているのが、その事だ。

6年前にブラジルを訪問した時、僕はインストラクターの帯で、挑戦者だった。

兎に角強くなるために、全力でぶつかって行っていたと思う。

そのため、余計な遠慮がなくブラジル本部のエネルギーを存分に味わい、吸収できていたと思う。

それが今回、色々な知識を付けてプロフェッソールとして臨んだ自分は、

様々な事を知っている故に弱く、一つ一つの動作に躊躇いがあった。

そのためにブラジルのエネルギーに順応するのに1週間近くかかってしまい、

しっくりくる感じになった頃には帰らないといけなくなってしまった。

この辺は痛恨だがいい勉強になったし、何のためにブラジルに行くのかが良く解った部分でもある。

何のためにブラジル本部を訪れる必要があるのか。

それは詰まり、カポエリスタとして、今、この瞬間に、全力になるため、

だと言える。

日本ではあまりにも知識や柵が多すぎる。

それをさっぱりと脱ぎ捨てて自分自身のポテンシャルを出し切ったらどうなるのか、

それを経験できるのが、ブラジルを訪れカポエイラをすることの意味だと思う。

 

さて、次回はブラジル滞在あれこれをお送りしたいと思います。

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