カポエイラ:ブラジル渡航レポート① エッセンス

随分久々の更新になってしまいました。

支部長のGriloです。

10月17日~28日まで、ブラジルに行ってまいりました。

湘南支部を立ち上げる直前以来、実に6年ぶりの訪問で、

これから毎年のように行くことになるかなぁと思っています。

情報がまだ風化しないうちに、ブラジルレポートを複数回にわたってお送りしようと思います。

一回目の今日はともあれブラジル本部ACCCに行く意味、そのエッセンスの話。

 

カポエイラを日本でやっていると、日本のカポエイラも随分と育ってきて、

レベルもかなり高いものになって来ていると思う事がある。

技もバリエーションも豊かになり、ホーダもそれなりに行われて、

ともすると日本も本国に負けないレベルまでもう少しなんじゃないか?

なんて思ってしまう。

けれど、そんな考えを清々しいまでに一蹴してくれるのが、

本部でのホーダとジョゴの経験だと、今回の訪問で身に染みた。

 

ブラジル本部のカポエイラと日本のそれは明らかに違う。

使っている技や蹴りはさして違いは無い。

ただそこに乗っている覚悟が違う。

日本に居ると気付かないけれど、僕ら日本人はジョゴ中も無意識に色々な事を考えている。

例えばマルテーロ(上段廻し蹴り)一つとっても、

相手にそれを放つにあたり、

やれ怪我をさせないようにだとか、明日の仕事に支障が出ないようにだとか、

きちんと避けられるようにだとか、相手が嫌な思いをしないようにだとか、

そういったことを物凄い高速で頭の中で回しながら、

最適解としてのマルテーロを出そうと頑張っていると思う。

ある意味では未来のことやこれから起こることばかりに意識がいっていると言える。

それに対してブラジルのカポエリスタは、

今しか見ていない。

今、相手を倒すためだけに蹴りを放つ。

だから、物凄く蹴りが強い。

迷いが無い蹴りは、様々な思考を塗りたくった蹴りとは全く別の次元のものになる。

結果、日本人はブラジルに渡った時、大きく気圧される。

「嫌われたのではないか?」と思う人さえ居るほどに、

彼らの蹴りは本当に相手を倒すために放たれている。

その辺りが、ブラジル本部と日本との絶対的な違いであると僕は思う。

 

僕が今回のブラジル訪問で一番印象に残っているのが、その事だ。

6年前にブラジルを訪問した時、僕はインストラクターの帯で、挑戦者だった。

兎に角強くなるために、全力でぶつかって行っていたと思う。

そのため、余計な遠慮がなくブラジル本部のエネルギーを存分に味わい、吸収できていたと思う。

それが今回、色々な知識を付けてプロフェッソールとして臨んだ自分は、

様々な事を知っている故に弱く、一つ一つの動作に躊躇いがあった。

そのためにブラジルのエネルギーに順応するのに1週間近くかかってしまい、

しっくりくる感じになった頃には帰らないといけなくなってしまった。

この辺は痛恨だがいい勉強になったし、何のためにブラジルに行くのかが良く解った部分でもある。

何のためにブラジル本部を訪れる必要があるのか。

それは詰まり、カポエリスタとして、今、この瞬間に、全力になるため、

だと言える。

日本ではあまりにも知識や柵が多すぎる。

それをさっぱりと脱ぎ捨てて自分自身のポテンシャルを出し切ったらどうなるのか、

それを経験できるのが、ブラジルを訪れカポエイラをすることの意味だと思う。

 

さて、次回はブラジル滞在あれこれをお送りしたいと思います。

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